「適正価格」
私が実家の家具店に就職した23年前、家具業界は「お客さんが店員に頼めば、そのたびに特別値引きをしてもらえる」という売り方が主流でした。
新米で売り子になった私は、定価10,000円の製品を、いくらの値段で家具に表示し、また、お客さんに壊れたらいくらで売るのかを毎日求められました。
この習慣がなぜ平成のあの時代にまだ続いていたのか?これは私の予測ですが、世の中に八百屋さんがまだ残っていたからだと思います。
八百屋さんは、夕方になって売れ残りを捨てるともったいないから肉や野菜を叩き売りします。奥さんが、店主とうまく話せれば、うまいこと「お得意さんだから」とあれもこれもタダで付けてくれる日もありました。(もちろん半分は腐ってましたけどね。)
その感覚で、世の中の人が家具を買う時も同じサービスを期待したのではないかと思っています。
ただ、家具は腐らないのでほんとうは年中同じ値段でいいはずです。それに、経理や原価計算も知らされていない新入社員が、勝手に値引きをして良いはずがありません。
それでも毎日、私は、お客さんの顔色を伺いながら一生懸命値引きに頭を悩ませていました。まだ23歳だったのに、家に帰れば10時から朝は8時までバタンキューと寝るほど脳みそを使っていました。
そんな中、ネットワークビジネス(いわゆるマルチ商法・ネズミ講)の奥様方に、家具を買うから家まで見に来いと言われ、そこで薬を勧められることがよくありました。
そういう人たちは、大体私のように威勢が良く、自信ありげで明るい人が多かったです。ネズミ講ですから、私が良い売り子になるのだと思って目をつけられたのだと思います。
そもそも1番初めは、天下の優良広告代理店・博◯堂に勤めていた若い男の子に、東京で三◯デザインテックの研修をしている新入社員の私たちはデニーズに呼び出され、勧誘された覚えがあります。
私は昔から実家が商売をやっていたので、いくら学生上がりとは言えおかしいなと思いました。この人は、何かかっこいいことを言っているし、いかにも私たちに儲けようと話を持ってきているように見えるけど絶対に違う。
何かが違う。
それはなんだろう…???
その日1時間ほど話を聞いて、しつこくしつこくよくできたシステムを説明されて(博◯堂だったので、ラフスケッチのイラストがとても素敵だったのを覚えています)、申し訳ないほどはっきりと分りました。
@結局は、会社トップ5%の人だけが儲かるようになってる
A残りの95%は、不適正な高い価格で商品を売らされる
と言うことです。
(あの時、実家が商売をやっているだけでこんなことがわかるのか!とびっくりし、いつの間にか商売のセンスが身に付いている自分をはっきり感じました。)
例えば最近で言う「悪徳商法」と言うのは、いくらで売ったら悪徳になるのかと言う事ですが、法律は意外とゆるくて、「世の中で良しとされる値段の倍以上を値付けしたらそれは悪徳」なのだそうです。
例えば10円玉と言う商品があったとして、それが20円で売られていたら、ギリギリオッケー。25円で売っていたら悪徳。になります。
何が言いたいかと言うと、
ジャパンライフがとうとう逮捕されましたね、と言うことです。あんなに被害者を出しておいてこんなに大輔が難しかったんです。
よく効く薬だろうが、健康になる布団だろうが、災害時に備えられる太陽光だろうが、悪徳業者は高く売っていますからすぐ気づいてください。金額も高ければ、商品も粗雑、個人情報の漏洩も3点セットで付いてきます。
私は、お客様の家で、様々な悪徳工事を見守ってきています。
・4,000,000円の屋根裏耐震工事
・2,000,000円のシロアリと床下換気工事
・400,000円の整水器
・1,000,000円の羽毛ぶとん
・3,000,000円の借り換え(住宅ローン)の住宅金利をあてにした太陽光発電設置工事
・5,000,000円のずさんな屋根瓦取り替え工事
…お金を貯めていらっしゃる方ほど、うっかり払っていらっしゃいます。長々と書きましたが、正直、このブログを読む方は、もともと騙されません。性善説で信用している人に対して、悪徳業者は本当に許せません。
ジャパンライフのようなネットワークビジネス、マルチ商法が世の中から1つもなくなってほしいと心から願います。
そのためにはまず、消費者一人一人が、「適正価格」を勉強することだと思っています。
posted by Kuhcan at 19:04|
インテリア施工例