
これ、今日の打ち合わせ風景です。
この窓の台風養生をどうするか…みんなで悩んでいるところ。
「この大きな窓、雨戸がないから、木の雨戸を3枚、家の裏まで取りに行って、いちいち自分で立て込んでいるんです。」と、お客様。


外はこんな感じです。
玄関の庇や 入隅があるため、雨戸が取付けが不可能たんですね。
初めの私の提案では、この窓にシャッターを取り付ければ良い話になっていたのですが、設計図を見て、お客様が心配をされました。
「窓の敷居が、今でさえ10cm以上外に出ているのに、シャッターをつけたらさらに13cmも飛び出るんですね。そしたら…夫を車椅子で、デイケアに送り出す時、敷居の強度は大丈夫ですか?」
私、それを聞いてはっとしました。
実は工事が進んでいて、明日にも塗装を始め、完成したらシャッターを取り付けるだけのつもりでいました。
でも確かに、今は在宅でケアをしているお父さんが、車椅子になる日も実は近いご様子なのです。
外に車椅子を送り出すスロープを作れず(お父さんを送り出すことが)できなかったら、ひょっとしたら、在宅ケアが不可能になってしまいます。
ご夫婦は別居になってしまいます。

それは…アカン!!
「ゴーヤカーテンを作りたいから早く終わってね」とのリクエストで順調に進んでいたはずの工事でしたが、それどころではなくなり、一旦ストップです。
少し大掛かりですが、今ある窓を外壁材とともに撤去して、特注のシャッター付き窓を作り、外壁や内壁を一部、作り直すことにしました。
実は嫌な話をすると、私は最近忙しかったので、「あー、また話が右に行ったり左に行ったり。ちっとも決まらなくて大変だ」と思ってしまいました。そしてそれを思う自分がすごく嫌になりました。

そんな翌日、東京に行きました。
住教育を担う女性陣にこの話をすると、理事長の淀川さんがこう仰いました。
「それでいいのよ。それでいいのよ。男の営業マンならそのまま進めてしまうかもしれない、でも自分の都合は脇によけて、そのお客様に寄り添う事は本当に大事ですよ。それができるから、私たちはいいんですよ。」
なんかそれだけで、自分の罪悪感も消えましたし、迷いも消えました。
私たち女性の建築人は、人の暮らしに寄り添えるからこそ価値があるのです。
このお母さんが、台風の時に20mも3枚の雨戸板を担いで危ない目に合うことのないよう、それでいてご主人とずっと一緒に暮らせる工夫を、私が考える立場なんですね。
改めて責任と、自分の仕事への執念を取り戻ました。
お客様の意向を丁寧に聞く事は、実は商売上ものすごく効率が悪く、時間も限られ、待たせているお客様には怒られ、いつも迷い疲れながらやってきました。
でも、なぜそんなに効率も要領も悪いことをやり続けるかと言うと、それが、私の誠意だからです。
だから、自分が怒られたりする事はもういいことにして、他のお客様には謝って、それでも一人ひとりにいい仕事を届けていきたいと思いました。
そして何度も言いますが、どうしを増やして、お待たせする時間も減らします。
弊社の女性陣は皆本当に親切なので、これからもそういうチームをもっともっと作っていきたいと強く感じました。
【工事写真の最新記事】