RC造は、戦後の日本では夢の素材とされていました。東京の表参道に立つ「同潤会アパート」は、100年建築ともてはやされ、戦後日本のモダニズム建築のアイコンとなりました。
ところがフタを開けてみると、どうもそうではない。アルカリ性で酸に強いはずのコンクリートは、高度成長期の酸性雨のため黄色く溶け出し、栄養が良くなり平均身長が伸びた日本人には、戦後の設計では天井が低すぎました。昼温まって夜熱を放射するコンクリートの放射熱は、住民に過酷とも言える熱帯夜を生み違和感のもとにもなりました。
何より 海外の指針では想定外の頻繁な地震により、同潤会アパートは驚くほど傾き、いつ倒壊するのか?危ない建築物として、築40年目には「失敗例」として建築の教科書に掲載されるようになってしまいました。
前置きが長くなりましたが、今回はそんなコンクリート造の住宅の雨漏りです。
鉛の水切り板を付けたドレインを、コンクリート壁を抜いたただの穴だった排水孔に装填しました。
これを
コンクリート穴に挿す。
今までは、コンクリートに穴が開いていただけだったので、排水される大量の水がコンクリート壁そのものに染み込み、その付近にある押し入れをバケツ一杯も水が溜まるほど、激しく濡らしていました。
(↑写真は、木が乾いた後のもの。)
木のアクを見ただけで、どんなに激しいわかります。
「この家、あちこち雨漏りしていて…もうイヤ!こわい!」と施主様はおっしゃいますが、それ以外には大きくて立派な建物です。
いざ壊すとなれば、解体費用は400万円を超えるはずです。
夢の素材コンクリート。
開発当時は自然を横臥して堂々と登場しましたし、今も道路や橋、住宅の基礎で大活躍です。
ですが私は、こういう些細な(!?)雨漏りや放射熱によるカビ問題に出くわすたびに、天然でも人工でも、夢の素材なんてものはこの世になくて、何にでも欠点はあるなぁ。と感じます。
肝心なのは、そのメリットデメリットをプロとして熟知して、その情報を提供してからお施主様に選んでいただき、お互いにその素材に向き合う覚悟をすることだと感じています。
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