ありがたいことに、来客、電話、が終日続いた初日でした。

昨年末、コロナに罹ったせいで宿題仕事がたくさんです。が、同時に年が明けたおかげで、普段の考え(この会社で何がしたいのか)をお蔵出しして、虫干しして、天日干して、さらにひっくり返して、干し切って、水で戻して、整えてお皿に出せるくらいの時間が与えられました。
すごく良いです。
夫の実家である大阪から帰ってくる間に、その気持ちを話したところ阿吽の呼吸で同じでした。
夫は「僕が尊敬する人たちはみんな、効率とか段取りとかシステムとか言わず、『わざわざこんな険しい道を…』と思うところを一歩一歩踏みしめて、傷だらけでそれでも一山一山、自分だけの道程で越えておられる」といいました。
主にそれは、古民家再生協会の支部長達です。
愛知の戸田支部長…。70歳を超えて、憧れていたヨーロッパやアメリカ
、林野庁、名古屋港…(市長はもちろんのこと)、と交流し、古民家を丁寧に再生しています。

讃岐の山倉支部長…。「無人島を放って置いたらアカン」「引きこもりの子を増やしたらアカン」と言いながら船で
ボランティア清掃に向かい、ヤギと相撲を取り、夏休みの子供学校を手弁当で40日たっぷり運営しつつ、アメリカで補助金をもらうほどの古民家移築を成し遂げています。しかも苦労して得た輸出のノウハウを余さず戸田支部長に御伝授なさいました。クリスマスは毎年サンタになってプレゼントを配り歩きます。

お二人とも、古民家を再生させることで、僻村に人の流れを作り、地域を冨ましめようされています。そして
「自分のやりたい事(建築)で、世間の役に立ちながら仕事人生を終われることがどんなに幸せか!」と自分の人生に感動しています。
私たちの社長としての使命は、こういう純粋な心で人生を終われること、またそういう人を増やすことなんだろうなと思うのです。
宇宙船開発の植松努さんはこう言います「貧しい国を見てください。そこにはどんな人が住んでいますか?泥棒やギャングです。貧しい世界では、人は他人から奪います。何も与えられてこなかったので、その人には奪う以外生きる道がないからです。ですから、あなたは、人に与えられる人になってください。何もない人を作ってはいけません。あなたが与えて、何ももらえなかった人がいない世の中にしてください。それが私たちの道です。」
忙しかった年末を無事にやり遂げてくれた社員5人を見ていると、うちの会社では、もうみんな与える人なんだなと思いました。晴れやかな気持ちになり病床で一人感動し、むしろそのリーダーである自分は一体?と重責すら感じる始末でした。
「無駄なく、迅速に、誰がやっても同じように、仕事をしましょう。と会社では教えたくないんだ」と、私たちは思います。いくら会社が成功すると知っても、そんな働き方をしなくてもいいのです。
あなたがあなたでしかない部分で、勝負してください。そして建築の仕事をしているとしても、それは「モノ」を造るためではなく、誰か「人」のために仕事をやっていることを忘れないでください。あなたという個性が、この業界で何かを生み出し、与えられるから、仕事をしている。それが真理です。
お金を得るために創造し配ることをシステム化してはいけません。いくら綺麗事と言われてもその気持ちは全く変わりません。システムの中では、人はどこか歯車という「部品」になってしまうからです。
「仕事に、人生に、魂を宿すためには、自分が生きていて、人間であることを忘れてはいけないんだ。そしてその自分の横にいる誰かも、命があり生きている事を忘れないでください。」
これが今年の初めの、夫のあいさつでした。