
このお風呂、作られてから60年。
風景画があって、情緒たっぷり。
床のタイルもこんなにしっかりした焼き上がりです。
そして、敷居の立ち上がりには本当の石が使ってあります。
脱衣室から見ても美しい上り框(かまち)。
かわいい、仕事がきれい、目地もキレイで、タイルの1枚さえ剥がれ落ちていない。これはもはや骨董です。
このお風呂を「寒いから」と言ってリフォームしたいお客さん。断り続けて早10年。
しかしいよいよこの冬の寒さで、「いい加減やろう」と言う話になってしまいました。(お風呂場の事故は交通事故の2.5倍ですからね…)
でも、私は全然壊したくないのです。広いおうちなので、もういっこ風呂を作ってはダメか?と提案して、「えー、またぁ、良子ちゃん…。うち普通の家なのに、なんでお風呂2つもいるのよ」とお客さんに呆れられています。
でも、この風呂をリフォームしたいと言われた瞬間、土岐市のタイルミュージアムに電話をかけて、どうやって保存するんですか?所蔵品は要りませんか?と電話をかけてしまう位このお風呂が好きな私。
(ちなみにタイルミュージアムは、話に乗ってくれました)
しかし、やはり保存するよりこの完全な部屋をそのまま残したいと言う気持ちが収まらず、今日、なじみのお客さんのところに行った時、つい愚痴りました。
こんなスケッチ図まで書いて…。
すると、「おいりょうちゃん、そんならな、こうすればいいやんか。俺ならこの部屋をアーティスティックな脱衣場として残すな!」
と、お父さんが2つも3つもアイデアを出してくださいました。
もう、私は目がキラキラですよ。ちょうど明後日打ち合わせなので、喜んで提案したいと思います。
他人の風呂に親身になってくれる私のお客さんに大感謝。最近、お客さん同士で(見ず知らずの他人)、「おい、あんたはどんな家を建てるんだ、俺にも加わらせて」という謎の展開になることがしばしばあるのですが、個人情報のこの時代に、昭和だな〜クーカン。