2023年12月30日

古民家再生ショールーム 誕生

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2023年もお世話になりました。
今年は、古民家再生ショールームの拠点として
新しく「すのまた宿 池田屋脇本陣」を誕生させることができました。
古民家再生の取り組みや、
丁寧に作る家を見ていただきたくて、
モデルハウスを建てるか?
古民家移築のモデル棟を建てるか?
と迷っていたところ
すのまたで800年の歴史を持つ安藤家のお屋敷を引き継ぐことになりました。
新店舗になるこの脇本陣では、
新しいスタッフと私吉田良子が、交代で店番をします。
焚き火でお餅を焼いたりお肉を焼いたりしたい大工さん達も、ふらっと寄ってくれる名店(?!)です。
平塚家具のヨーロッパブランドのベッドやソファが入っているので、格安で宿泊体験もできます。
2024年は、夏頃に
お風呂を作り
芝生の庭を完成させます。
スタッフがいる日は芝生や裏の空き地を開放して、小さなお子さんがふらっと来て、ふらっといなくなれる、近所の一つにしたいなと思います。
(イメージは、ドラえもんの土管の空き地です。)
この脇本陣は「出世」
がテーマなので、
建物のオブジェクトはもちろん、
ここで行うイベントは、
人を励ましたりやる気にさせたりする、愛情のあるものにするつもりです。
皆さんぜひ一度足をお運びください。
年始は5日からオープンします。
良いお年をお迎えください
岐阜県大垣市墨俣町墨俣115
すのまた宿 池田屋脇本陣
株式会社 空間建築工房
posted by Kuhcan at 11:10| 古民家再生協会

2023年09月21日

孔子曰く、五十にして天命を知る

最近ですねぇ。
(これは経営の話です)
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社長として勉強すればするほど、
「自社だけの利益を追求すること」
をノウハウとして教えるコンサルや社長陣に嫌気がさしてきました。

代わりに
「人の幸福の最大化」
にコミットできてれば、
人口減少、地球温暖化の世でも、自然に会社は残る気がします。

 特に今の時代、お金を追いかけることを本当に無意味に感じています。

経済界の理屈(必勝法)は
「利益の最大化」です。
今、力のある大手企業が、戦争という危ない世の中での生き残りを賭け、こぞって収益を向上させたため、このインフレが起きています。

出遅れたものや、生き残ろうとしなかった企業や個人は、金欠になり・仕事が減り・人が減り・苦しんでいます。

ですが、他人の幸福を考えていると、この欠落の状態さえも、「まぁ誰かには皺寄せが行くんだから、自分が引き受けてるだけか」と痛み分けの気になります。


「いやそれではいかん!
社長たるモノ確固たる計画と執念で、流れに竿出して自分は勝て!」
と優秀な社長たちから檄が(笑)飛んでくるのですが、

私の執念は、
「六方よし」なので、自分だけが勝つことはありえないと思います。
「みんなで、少しづつ担い、少しづつ苦しみ、少しづつ得る。」
そうすると、負担が少しな割には、みんなが円満に過ごすことができます。

私はなんか結局、こういうことが1番良いのじゃないかと言う気がします。

(ロシアは、分かち合う理念を踏みにじっているから悪い。)


これで成功例はあるかと探してみると、日本の縄文時代です。

世界的に見て、1万年も続いたのは、日本の縄文時代だけです。

自然の森の恵みに頼っていたら、工夫や進化をする必要がそこまでなかったのだそうです。

喧嘩も圧倒的に少なく、争いや暴力で死んだ骨がほとんど出ないことも評価されています。

縄文スタイルが終わったのは、朝鮮半島から圧政を逃げてきた移民が、「開墾」を始めたからだといいます。

そう考えると、縄文風の、自然と馴染んだ小さな経済は、今のグローバル社会に大きな学びを与えてくれます。

現代の企業経営で具体的に言うと、
「父ちゃん母ちゃんの店」が、
サスティナブルだと言うことです。

「会社」と言う制度で、生産活動と家庭を切り離してしまったので、いろんな弊害が出ました。

会社員は、朝出たきり、家庭に帰れず働きます。

子供の面倒を見る人(今までは主に女性)は、家庭に閉じ込められ、経済活動との縁が切れます。
それがイヤで経済活動に参加したら、子供を見守る人がいなくなりました。

子どもは、子供時代の持て余す自由な時間を、外に出られず預け先のルール下で暮らすか、ゲームというバーチャルなものに費やし、

60歳になると、生産性が低いとみなされ何の仕事もしなくなるか、人からも期待を与えられなくなりお一人様化します。

。。。
最近、「子供が要らない」「夫がいらない」「妻もいらない」「親もいらない」「老人も要らない」と思ってしまうという風潮ができたのは、
意外と「会社」が人と「家庭」を分断した結果じゃないかと思うのです。


だから、私は、自分で会社を作って、仕事で家族が離れないようにしてきました。(とはいえ家に殆ど帰れませんでしたので…じいちゃんばあちゃんを最大限に活用して子守をしてもらいました。)

すると私の会社がどうなったかと言うと、
・近所の子供と遊んでいるうちにその親が入社したり、
・近所の家を工事しているうちに地域のシルバーボランティアと仲良くなり、街の活動を始めたり、
・古い家を治しているうちに全国の大工さん達と知り合い、仕事への情熱を高めあったり、
と、

人を人として捉え、
客だ業者だ企業だ個人だ、というバリアのない、まさに血の通った会社ができつつあります。
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長くなりましたが、今日は高井会計さんで、80年前のドラッカーが、晩年は非営利団体について考えていたんだとの話を聞いて、非常に感銘を受けたので、改めて自分のスタンスを書いてみました。

私のやっている事は、非営利ではありません。でも会社にお金があれば成功だとも思いません。できる限りの利益を、材料やデザインや人に割いて、建物も人も健全に立っているのが一番の成功です。


これからも、父ちゃん母ちゃんの店の代表として、みんなの幸せを願いやっていきたいと思います。

そして、本当に、育てた子供たち(他人の)が、うちの会社を好きになって入社してくれるといいな。と思います。
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…昔はこういうこと(親の仕事を子が真似ること)を、小さく育てる事だと思っていましたが、最近は、ちょっと意見が変わってきました。
 つまり人は、お互い円満に過ごしていたら、自然と一緒にいるものなんですね。


タイトルにある通り、何千年たっても孔子が言ったことが皆に当てはまるように、今日話した私の考えが、真理だったらいいなと願う夜です。

posted by Kuhcan at 03:40| 日記

2023年08月25日

慶應の甲子園と酷暑

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夢があるな〜と思いました。
頭・体力・努力・団結力・お金
全てがある人がいるんだ〜。

最近子供達が「若者」になってきて、
自分の知らないことやセンス、友人を連れてくるのですが、それだけでかなりいいモノです。

そこに、甲子園優勝を加えてくるなんて…。

聞けば、坊主頭である必要もなく、時間もそこそこ確保されて練習しているということ。

まぁ、私立大学なので、スカウト力の要素はあると思いますが、その議論は無しにして、ある程度のゆとりがある練習で優勝できた、ということが素晴らしい。
これから野球人が考えていかなければいけない課題だと思います。

と言うのも…
世の中が暑いからです。
そして野球部は一人の時間がなさすぎるからです。

この酷暑の中、なぜここまでと言うぐらい、プライベートの時間を奪うのが野球です。子供たちが自分で考える時間を奪い、人間に耐えられない暑さを経験させる、ちょっと危険なスポーツになりつつあると本当は思っています。

特に時間について、凡才が揃うならともかく、そこそこのトップ高3位くらいまでは、そこまでやらないとダメなのかなと思うことがしばしば。これは選手の問題ではなくてマネジメントの問題だと思っています。

私は、野球やる人が大好きで、この精神はかなり素晴らしいと思っています。それにそもそも夫は小学校ですが監督をやっています。
 が、いかんせん、強豪校になればなるほど 野球以外を教えなさすぎるので、子供たちの進路について少し心配しています。

集中と選択とよく言いますが、子供たちに5歳から18歳まで野球しか教えずに育てる集中を見せてしまったら、さすがにまずくないのでしょうか。

だから、慶応の方針について、野球の理事会がざわつき、ちょっと取り入れてみようと思ってもらえないかなぁと思っています。うちの夫にも…。

 かく言う私も慶応の方針をよく知っているわけでは無いんですけれども。(そして繰り返しますが、お金で良い子をとるアドバンテージも確かにあると思いますけれども。) 

子供たちが、豊かな選択肢と安全の中、競争とチーム力を学ぶこと、そんな良質な教育ができる大人でありたいものです。





posted by Kuhcan at 07:32| 日記

2023年07月25日

天王祭とみかん

盛夏です。
昨日は久しぶりに、地域でお祭り「天王祭」がありました。
私たちは冷凍みかんのお店を出しました。
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「いらっしゃい いらっしゃい!」
久しぶりにストレートに物を売りました。
商売の原点に帰れて、ほんとに楽しかった。

すのまた宿 脇本陣の屋根裏から出てきた年代物の樽で冷やしたみかんみかん缶です。
(食べてみると、シャリシャリで本当においしい。)
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なかなか暗くならない本町通りの、本番を待つ屋台が並ぶトワイライトタイム、昔、この通りに住んでいた子供時代のワクワク感が戻ってきて、ノスタルジックでもありました。
 ここで、商売の楽しさ知ったんだなぁと、しみじみ感じました。
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大垣の石田市長さんも来ていただき、すのまた宿 池田屋脇本陣の夏、スタートです。
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 休憩所は、みかんを持っている人は無料で使っていただけるようにしました。終始満員御礼です。日本の情緒、少しでも皆さんにお伝えできたらいいな。

余談ですが、
しかし、こうまで暑いと…。
建築業としては、普段は人死にが出そうな恐怖があります。こういう時、私はいつも、「人間だけ逃げ切れると思うなよ」と地球に言われているような気がします。

 恐竜が滅んでしまったように、エゴが膨らむとその文化は閉じます。
 最近、国の指針で、「脱炭素」が当たり前になっていますが、少々気をを使ったところで、人間が何かを消費していることには変わりない。

 自分が知らず知らずのうちに撒き散らしているエゴは何なのか?
 この暑さに向き合うたびに、考えさせられます。古民家再生は、「新しいものが欲しい」という消費のエゴを1つでも減らして、立派なものはきちんと長くみんなで使う取り組みでやっています。

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とりあえず、お祭りで分かった事は…
「クーカンのみんなは 縁日に向いている」
ということ!
スタッフそれぞれの仲間たちが次からへと訪れて本当に楽しい時間でした。こんな場を作れることに幸せを感じます。
「だから『縁日』っていうやろ」
と、吉田くんが言いました。
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みかんの缶詰、110個、あっという間に完売御礼でありがとうございました。
来年の天王祭はもっと、楽しんでいただけるお店作りします。また来てください。
 


posted by Kuhcan at 03:17| 日記

家の声

 「あなたの仕事は、家の声を聞いてそれをカタチにする。良い仕事だよね」とある方に言われました。
 シブい人だと思いました。私が「お客様の声」でなく「家の声」を聴いている、と言われたからです。
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 もうすぐ雨漏りを直す大工がいなくなると私は思っていて、クーカンではその育成のために、丁寧に家を治します。
 直せば直すほど、新しく家を建てると言う意味がよくわからなくなってきて、実はブログが全然書けませんでした。
。。。
 
 丁寧に家を見ると、丁寧に家を建てても、長期的には多分違うなと、思うことが増えてきてしまっていました。
 人間の要望と、自然と共生する家は、相反するな、と気づいたからです。
 「お宅は雨漏りが心配ですよ、うちで工事をしましょう」と20〜200円円の見積もりを持ってくる会社はみんな悪徳業者だと先日書きました。
 本来なら「家を持つ」って一生の財産をかけた大仕事ですが、皆さん家を建てるきっかけが
・一軒家を構えるような年頃になった
・お金が貯まった
・お金がないけど、借りれることになった
が大半なんですよね。
私は、最近、こういう仕事は若いスタッフに任せています。その方が、アイディアがフレッシュだし、お客さんの意見を聴き、建てるからです。
 私の本音を言うと、「施主の夢や希望の100点を目指すと良い家はできん」と思うことが増えてきました。そこで、「80点でやめましょう。」を若いスタッフの影から全力で言うという仕事をしています。
 
 完璧な家を作ると、メンテナンスがものすごく大変になるためです。
 その場合、その家は将来なにに困ることになるか?、そのどこに一番目のメスを入れなければいけないのかを、ホームドクターとして考えています。
 最近家も高くなったので、皆さんは「一生の買い物」と思っていますが、本当は20年を過ぎれば何度でも手を入れたり修復したりは必要です。日本の四季や湿度、天候が荒いからです。
 80%で止めておくと、20年後のメンテナンスが楽です。つまり安くつきます。それでも、60年目になると壊したくなるかなぁと言う気がします。
 私が古民家が好きなのは、130年目でも壊さずに直たくなる情緒があるからです。今の新築は、100年経ったら情緒は一切なくなると思います。
 だからきっと、建てた本人がいなくなれば壊されてしまいます。それってゴミなるんだなぁと、60〜100年でゴミになる家は嫌だなぁと、100年後思ってくよくよしています。
 
 そんなわけで、新築こそ全力で建てています。
 最近、新築用であるこのブログが書けないのは100年後のクーカンの家の矛盾に気づいてしまったからです。kuhcanの家は頑丈で嬉しいと言われれば言われるほど、次世代の方のメンテナンス費を思って、心配になっています。
 だから冒頭の「家の声を聞いているね」はうれしいご指摘でした。
 別のお客様から「ウチの家はどこが1番辛そうしていますか」と、築60年の調査を依頼されました。ご自分ではわからなくても、何か辛そうだな、ということは感じていらっしゃる。これからはこういう仕事をしていきたいと思います。家の声を聴く仕事。
 家づくりは、実はこの感性が本当に大切です。
日本の家は、木や土や竹という植物でできているので、呼吸をします。この呼吸が、セメントや金属の板などで塞がれて、呼吸ができなくなっている。(または、その中で木が腐っていく。)
 ここに異常性がありますが、現代風の家は、たとえ私どもの建築であっても、セメント板や金属板で覆うことが多いのです。
 これは、はっきりした理由があって
「木、土、竹で作ると、時間が経つと乾燥して隙間ができ、家と外がつながってしまう」クレームを避けるためです。
 
 つまり、蚊やゴキブリ、強い吹き降りの雨やネズミの侵入を塞ぐために、家の声が聴きづらい建て方をするのです。
 最近、古民家を触れば触るほど、「隙間はあってもいいなー」と思うようになりました。
 そして、断熱のことをとやかく言っていますが、紙一枚(障子)だけで締め切った部屋が、夏なのに涼しいことにも驚かされます。
 2023年7月の今は、古民家リノベーションも、新築も2軒ずつ工事中です。どちらもご見学可能ですので、ぴっちり頑丈な新築と、築130年の古民家、比べて見たい方はぜひ、弊社までお声掛けください。
 
 
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posted by Kuhcan at 02:11| 古民家再生協会

2023年06月10日

雨漏りが治らない時代

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古民家や空き家のインスペクションをしていて、「なんだこれは」と思わずうなるひどい施工の家があります。
安普請(やすぶしん)という言葉がありますが、全くもってそれで、特に高度成長期の60〜40年前のが最悪です。
 70年〜100年のほうが、大工さんがALL手刻みで、天然の木を使って建てているので、断然頑丈です。しかも壁は土なので、濡れても乾くため、柱や梁も頑丈です。
 築50年の家の方が、壁にモルタル(コンクリートのようなもの)を塗り、木も細く、壁の中で、湿気が溜まって、柱や梁が腐っています。外から見て不具合がよくわからないので、放置したので中が腐っています。
ちなみに古い家の場合、地震で揺れれば、柱と土壁の間に隙間ができ、家の中からうっすら光が差し込んで見えるし、隙間風が気になったりするので、不具合にすぐ気づくことができます。
 しかも、柱は室内外に見えているためしゃんと乾くせいで、屋根や基礎さえ悪くなければ、躯体は頑丈なままです。
 つまり古民家はとてもサスティナブルです。
 最近、知り合いの建築屋さんが、「自社で工事していない雨漏りは、なおしに行かないことにした」と言っておられました。
 これはどういうことかと言うと、一旦雨が漏ってから放置してある家は、ありとあらゆる場所を直さないと、どこかが腐ったり、溶けたりしていて、工事費が高額になり、初めて会ったお客様から不信感を抱かれるからです。「ぼったくりじゃないか」と思われて会社のイメージが悪くなるから、工事をしたくないと言うわけです。
 その点、「20万円〜80万円で屋根を直しますよ。」「200万円位で壁を塗り直しますよ」と言うプチリフォームの雨漏り修理の業者が続出しています。
 プロ視点で言うと、前者は安すぎ、後者は高すぎます。
 大体40坪位の家の屋根瓦を、40年ぶりに治した場合、屋根は500万円ほどかかります。
 外壁塗装は、160万円で、そこそこ高品質な塗料で濡れます。
 しかし、プチリフォーム業者は、屋根の直すべき部分をほとんど直さず、痩せた土葺きも放置して、お客さんの気分のいい値段に収めます。
 外壁塗装では、止まるはずのない屋根の雨漏りを塗装で直そうとし、さらに安い塗料を使って5年後には酸性雨で表面が溶けて白化してしまうような、安い塗料を高い値段で塗ります。
 「お客様が出しやすい値段」で、必ずしも家が治るわけではありません。
 40年目のメンテナンスで、屋根が100万円以下で治る事はありません。それは単なる応急処置です。
 
 こうしたことを堂々と言える会社は減ってしまったなと思っています。工務店がどんどん倒産しているので、大工も資格もない、新参のなんちゃってリフォーム業者が世に溢れています。(古参のが居ないのは、定期的に潰れていくから)
 最近では「エコキュートが壊れているから直しますよ」と言う謎のセールスが増えました。昔は「エコキュート80万円ほどで取り替えますよ」でしたが、世の中にお金がなくなったのか、「なおす」程度の30数万円で騙しに来ます。
 (エコキュートは、製造メーカーに直接言えば、せいぜい数万円から100,000円位で直してもらえるので、変な業者を入れないようにお願いします。)
 そんなわけで、金稼ぎのリフォーム業者が増え、本当に家に向き合う会社が潰れていく昨今です。ハウスメーカーの長期優良住宅の囲い込み営業の方がまだマシで、値段が割高とは言え、こちらは悪くなる前にオーバースペックで治してもらえるので、家はちゃん治りメンテが行き届きます。
 
 長々と書きましたが、100万円で50年放置した家は治りません。
 この言葉を商売的とかぼったくりとか思われない、本当に家の為を考えている総合的な工務店として、正しくやっていかないとなと思う次第です。以下は、弊社が本気で直した、90年の屋根の動画です。
 
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posted by Kuhcan at 06:11| インテリアレッスン

2023年04月12日

クーカンが大事にしていること

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大事にしていることがあります。

それは、消費者でいるより、消費者に喜ばれる側でいたい。という事です。

仕事ばかりしている私ですが、遊ぶときは
・良いものを見る
・良いものを着る
・良いものを食べる
・良い人に会う
・良い話をする
ことに徹しています。

遊ぶ「時間」が少ないので、上記の良いものを効率よく摂取します。

すると、結局のところ、良い吸収は仕事になって、自分から吐き出されていきます。

すると、お客様が喜ばれます。

その姿を見ていたらますます張り切るので、仕事をしていて幸せな気持ちになります。

今日お引き渡しをしたお客様から
「3軒家を建てたが、あなたたちがダントツでいい仕事だった!」と褒められました。

嬉しい、、よりも、チームのみんなの誠実さが伝わった安堵感があります。有頂天になるのでなく、「これで明日も堂々と仕事を提供できる」という安心を、一瞬持ちます。

私には遊ぶ時間より大事な感情です。

とどのつまり、遊んでいるより仕事をしていたほうが、私にとっては充実だし、本当に楽しい、ということです。

ワーカホリックなわけではありません。
自分の作り出すものが喜ばしいのであれば、遊ぶ、つまり人が作り出したものをもらいに行く必要がない、ということです。

とは言え、新しいもの、美しいものは常にインプットしたいですから、遊びに行きます。

インプットが目的でなく、アウトプットが目的です。何でも人に作ってもらうより、自分で作った方が面白いのです。

いつか、そんな自分の存在が、文化をつなぐパイプになっていればいいなと思います。

それぐらいの仕事をするのが私たちの夢です。

posted by Kuhcan at 21:28| 日記

2023年03月02日

歴史的建物の管理〜だれと出逢ったか?の旅をめざして

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今年から、大垣市景観遺産「すのまた宿 池田屋脇本陣」の管理を行っています。

この建物は、鎌倉街道周辺の街であった墨俣に住んでおられた「安藤伊賀守(いがのかみ)」さま末裔のお屋敷で、古くは1300年以上前から、わかっているだけでも戦国時代には登場している一族のお屋敷です。

現在の建物は築130年。写真に写っているのは増築された築110年の建物です。

この建物は、長い間おばあさんお一人が住んでおられましたが、あまりにいい建物なので、15年前から松岡さんと言う女性の旗振りで、「地元の女性の手で」企画された「つりびな小町めぐり」祭りの拠点になっています。

15年目の今年からは、弊社の管轄になり工事中で、きれいなつりびな飾りができなかったため、お詫びに無料の休憩所として1部を解放しました。

すると、休日で500人、平日でも300人近くの人が訪れます。墨俣には秀吉の出世で有名な一夜城があり、花街として栄えた歴史もあることから、町歩きのお祭りなのですが、ほぼ全員がこの脇本陣よって行かれます。

というのも、宿場町であった歴史も今や昔、老朽化で町屋のほとんどが取り壊され更地が目立つ、風通しの良い街になってしまい、それらしく見るものが少ないからです。

それでも、今回の無料休憩所を通して分かった事は、「旅はみちづれ」。
 つまり、誰に出会ったかで、良さは変わるのだろうなということです。

 寒風、吹き荒ぶ街中をつりビナをたどって回り、温かい脇本陣でホッとしてコーヒーを飲む。そして、建物の由来を私たちと話ながら、コロナの収束を喜びながら、お祭りの女性たちの手作りびなやお土産物を楽しまれ、「お祭り参加記念品」をもらって帰っていかれます。

「このお祭りは優しいお祭りやねぇ」
「町の人のすごい努力が胸にしみるね。」
「誰にあっても、親切で本当に今日は楽しかった」

 工事中でも閉まっているといけないと解放し、工事中だからとコーヒーも無料ですが、特に寒い日に立ち寄られた方が、本当に暖かくて助かったと帰られるので、社員一同満足度が高く、もはやみんな、本業は一旦置いて、まつり当番に行きたい位の感じになっていますにこにこ

 これからも、「いいところに来た」「いい人やものに出会った」と言っていただける仕事したいなと思いました。建築だろうが観光だろうが、大事にすべき事はいつも同じです。


 8月のオープンに向けて絶賛工事中です。これからはいつでも立ち寄れる場所にしていきますので、皆様、どうぞ、これからも、気軽に足をお運び下さいませ。




posted by Kuhcan at 06:51| 古民家再生協会

2023年02月26日

地元の祭りをやってみて

工事中の「すのまた宿・池田屋脇本陣」。
このたびは、地元のお祭りと言うことで、工事を中断して中を解放しました。

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 とりあえず、どんなものかよくわからずに、コーヒーが飲める無料休憩所にしてみたところ、
商売で出くわす人たちともまた異なる風情の、温かい交流の場になっています。
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 そして、地元であるにもかかわらず、忙しがって、ほとんど参加してこなかったときには見えなかった、地域の人たちの誠実さや気力、体力に驚嘆する毎日です。
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 今日、休憩に立ち寄られた方が「優しい方ばかりで、すのまたは本当に良い処やね」と喜んで帰られたのが、なんだか大変誇らしく、生きていて、本当に楽しいと思いました。

 このブログでもしつこく書いてますが、会社をやってはいるものの、良いものを作りたい、良い場所を届けたい、良い心で暮らしたい、と言う気持ちだけでやっています。

 この祭りでは、なんだかそれが全部叶ったような、ちょっと夢のような雰囲気で、どの方も、ごちそうさま、ありがとうね、体が温まりましたと言って帰られます。

 飲食店の人たちは、毎日きっとこういう声に励まされてやっているのでしょう。衣食住、と言いますが、命に関わる仕事をしているのは、私も同じですが、また一味違った感動があります。
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 それに、100年も地元なのに交流してこなかった年配の方々、久しぶりに会った同世代の方々、新しい世代の子供たち、と1日500人の人たちに出会えて、イベントの企画の楽しさが身に沁みます。

「あんた、話が聞ける子やね!教えたいから紙芝居を見にいらっしゃい。」
「私たちがこの流れを継ぐの?そうやね、頑張らなあかんね。」
「祭りの応援ありがとう。みんな喜んでる」
「(子供たち)今日もきたよ!」


 コロナやウクライナ戦争で、現実を見れば切羽詰まったことばかりですが、祭りをやるということが、こんなに自分の癒しになるとは思いませんでした。
 スタッフも休日返上、買い出しに・案内に・ストーブの給油に…おおわらわですが、普段が真剣なので祭りでも全然真剣です。こんな時もさすが頼りになるクーカンの人達…。

 私自身、朝は企画書、昼は案内で毎日立ちっぱなし、夜はSNSですが、たくさんの人に会った日ほど疲れません。人はパンのみに生きるにあらずです。充実した仕事人生を送っているつもりが、一歩離れただけで、また違う豊かさが隠れています。

 祭り、大事ですねェ!

みなさん来てください。
「つりびな小町めぐり2023 
 2月23日〜3月5日
 すのまた宿池田屋脇本陣 界隈にて」
 
posted by Kuhcan at 19:00| 日記

2023年02月22日

今日怒られました…初心忘るるべからず

 今日、お客様にお叱りを受けました。
 石積みの庭を削る工事で、
・石碑の向きが悪い
・思ったより石積みが低い
・セメントの塗り方が汚い

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 石積みは難しいので、庭師さんに任せたらバツ1️でした。

「何でここ(大工・左官)までこうも綺麗にやってくれて、最後こうなんだ!」と怒られました。

 うちの監督は、「確かにうちの工事にしては仕上げが甘い」と反省して帰ってきました。

 「任せるよ」の言葉は常に罠のようにリノベーションの仕事に潜んでいます。

 いざやってみて「そうじゃないだろ」が最近多い。他人なので、良かれと思うツボが違う時と、思わず職人さんが急ぐ時、そして実際に相手の期待を汲み取りきれず気が利かない時があります。

 実は、この問題、「信頼されていがち」な、そのお客様と初めての工事の時こそおこります。

 「わからないから、いいようにやってね」
とお客様に言われても、昔は容易に自分を信じず、どんなに面倒でも、時間をかけて相手の好みを確認していましたが、最近は「使い勝手とデザインのちょうど良いポイントはココだ」と言う、プロの意見、逆に言えば、平均化された結論に至ることが増えました。

 最近、怒られる時は、大概、この平均的な施工をして怒られている気がします。
 もしくは「本当は意見を言いたかった。」というお客様の気持ちを汲み取りきれず、こちらの美学で進めてしまうのも一因です。

 弊社はリピーターが多いので、思わず「この人にはこれ」と決まると安定して進んでいくことが多く、怒られるのは、大概、はじめてのお客様です。

 お客様の「どうなるのかな」という不安を、私が汲み取りきれていないのです。

 と言うわけで、そろそろ50歳の私は、営業は若い人の助言やサポートに回ったほうがいい年頃だと思います。どうしても、会社経営に時間を使っているから、お客様の不安を昔ほど長い時間聞けなくなっています。さらに、なまじ経験が多い以上、自分の意思で十分正しいと思い出してるのは、仕事のまわり道で、良いことではないみたいです。残念ですが。

 ただ、実際、引き渡して家に住まれてからは、「しみじみ良い」と感じてくださる方が多く、時間が経つほど、弊社とお客様は馴染んできます。その方の次の工事には、プロの意見も生きてきます。

 初心忘るるべからず。

 畏れ、を持つ世代を増やせる、具体的には、お客様の意見をしょっちゅう聴けるような社員を増やす運営をしたいと思いました。いよいよ、スタッフあっての、空間建築工房です。



posted by Kuhcan at 23:41| 日記